流れ星に願いをかけることを聞いて育った「あきら」と、人が亡くなると星が流れると聞いて育った「ゆき」のお話です。
二人は、星の祭りの夜に出会いました。ふだんはひっそりとした村も、その夜だけは賑わうのです。それはまた、一年のうちで一番たくさんの流れ星が見られることでもありました。
そんなわけですから、ゆきは、村人達の中でもひとりだけなんだか沈んでいるようでした。ゆきは本当に心配していたのです。たくさんの流れ星の数だけ、本当に人が亡くなってしまったのだろうかって。だから、はなやかな村のようすも、ゆきには、あまりうれしくありませんでした。
あきらは、そんなゆきを見つけました。今夜は星の祭りだというのに、なんて寂しそうなんだろう。そうして、あきらは決心したのです。流れ星に祈ろうと。あきらには、願い事なんてなかったので、寂しそうにしている女の子が、幸せになれるように祈るなんてのは、ちょうど良い具合に思えました。
「こんにちは」
「あら? こんにちは。えっと……どちらさまでしたっけ」
「星の祭りの夜に見掛けたんだ……えっと、あなたのこと」
「あの夜に?」
「そう。ずいぶんと寂しそうだったけど、何かあったの?」
「……ううん」
先に話し掛けたのは、あきらのほうでした。
話し掛けはしたのですが、あきらはあきらで、星に祈ったなんてことは、なんだかてれくさくて言い出せませんでしたし、もちろん、ゆきも、人が亡くなったのだなんて、話をするのは気が引けましたから、星の祭りの夜のことはほんの少ししか話しませんでした。そのかわり、「今日」や、「明日」のことを二人は話しました。
そうして、いつか二人は結婚したのでした。
初めての夜に、流れ星が見えました。
あきらは、二人の生活が幸せでありますようにと祈り、ゆきは、見知らぬ誰かのことを悼んで、少しだけ涙を流しました。
二人が結婚して、何度か星の祭りが過ぎました。
二人の間には、子供が出来、そして、おとなになると、船をこぎだして海の向こうの国に出かけてゆきました。
ゆきは、相変らず流れ星を見つけるたびに少しだけ涙ぐみます。あきらは、ずっと前なら、流れ星を見つけても何も気にしなかったのに、今では、あれこれ、祈ることを数えているようです。
そうしてまた、何度も星の祭りが過ぎてゆきました。
二人が、最後に流れ星を見たのは、あきらの病床でした。
あきらは、自分が逝った後のゆきの幸せを祈り、ゆきは、ありがとうとささやいて、あきらの死を覚悟しました。