「はるな」は、今回発登場です。
倉吉文芸にエントリー予定の、『エール』のヒロインで、基本的に、「手話を母語とする」女性です。
年齢は、17歳。ゆかりより、若いのかな ^^; ろう者で、故に難聴ではあるのですが、会話も何とかこなします。日本語は、彼女にとっては外国語で、いわば、「表情と唇の動きによる手話」のようなものです。
「おっはよ! はるなちゃん。……っと、わかる?」
「うん。もうちょっとゆっくりの方がいいかな。ゆかりがフル・スピードで話したら聴者だってついていけないわ」
「……それは言えるかも知れない。それはそうと、今度ヒロインに決まったんだってね、おめでと」
「うん。ありがと」
「で、どこまでできたって?」
「うん。5枚分、原稿用紙で。今年は、取材大変だって、作者ぼやいてるわ」
「うっそ。『LIVE』の時は、取材なんてしてくれなかったのに……手抜きだ」
「まあね。彼、もともと、ブラスバンドやってたから、バンドの取材、ほとんどいらなかったって」
「そういうものかしらね」
「うん。そういうものらしい」
「そういえば、あたしだって、はるなちゃんと知り合うまで、聴こえない人がどうしているのかなんて知らなかったものね」
「そうね。ゆかり、『手話じゃなくてもいいんだ。すごいね』なんて、平気で言ってくれたし」
「ごめん。悪かったと思ってる。でも、初めて話したとき、はるなちゃんが、聴こえないなんて思わなかったわ」
「なかなかうまいでしょ、話すの」
「うまいなんてもんじゃないわよ。はっきり言って、はるなちゃんより、日本語下手な人っていくらでもいるわよ」
「しかたないの、それ。ある程度は」
「しかたない?」
「外国語、きっちり覚えなきゃ。いるでしょ。話せれば、きれいな英語話す日本人って」
「外国語?」
「日本語がね。私にとっては」
「そう……」
「ただ、日本語話す人たちは、回りに、圧倒的に多いから、助かる」
「助かる?」
「うん。ゆかりが、英語覚えるより、楽だと思うわ」
「……形無しね、英語弱いし」
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